2008年7月23日水曜日

うつ病のイメージ

 奥方の同僚の弟さんが亡くなった。以前からうつ病を患っておられて,治療がなかなかスムーズに進まないという中での突然の訃報で,おそらく自殺ではないかと思われる。自分も同僚の方からうつ病への対処法について相談を受け,弟がうつ病になった体験をもとに自分なりの考えを話したことがあり,気がかりになっていた。

 何年か前にも,ゼミで一緒だった女の子が,うつ病にかかり自殺した。その時はめったに無いことだと思っていたが,身内でうつ病患者が出,さらには自分がうつ病にかかり,この病気の身近さと恐ろしさを体感することになった。それでまた自殺が起きた。

 自分の病気は大分回復しているのを実感しているが,奥方は今回のことがあって,旦那が自殺にまでいたる可能性のある病気に罹っていることを実感に,怖くなったようである。

 うつ病は,なかなか治らないというイメージが広くある。実際,前の職場でも「うつ病はなかなか治らない」と発言していた人もいたし,現に長期にわたって患っている人も少なからずいるだろう。だが多くの人がうつ病から回復してもいる。医者がいうように,休養と服薬を続ければ,大半は治ると思う。

 うつ病を治すためには,周囲のサポートも重要であると思う。しかし,それを妨げるのがうつ病の持つ一般的なイメージである。

 うつ病は多くの人に「気持ち」の問題であると捉えられているようである。中には気合でうつ病は治るという人もいる。しかし,それは大きな間違いである。うつ病は「脳の病気」である。「心の病」ではない。脳の病気が脳を鼓舞したり,酷使したりすることで治るはずが無い。

 またうつ病を「心の風邪」とする例えがある。これも大いに誤解を生みやすい。なんだか,少し寝ていれば簡単に治ってしまう病気みたいに思われてしまう表現だ。とある本のタイトルにあったが,うつ病は「心の骨折」という例えがより正しいと思う。厳密には「脳の骨折」と言ったほうが良いかも知れないが。このイメージだと,無理せずゆっくり休ませたほうがよい,という考えを持ちやすいだろう。ギブスを外していきなり激しい運動が出来ないのと同じように,うつ病を克服した人もいきなり全力で仕事に打ち込めるわけではない。

 うつ病を「脳の病気」,「脳の骨折」という表現が,科学的に正しいものであるかどうかは専門家でない自分には分からない。しかし,このように考えることで,「心の問題」という表現では見えてこない,うつ病の一面が見れるのではないかと思う。

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