
名古屋出張。「ひつまぶし」で有名な「あつた蓬莱軒」へ行く。熱田神宮の周辺には蓬莱軒の「神宮前店」と「本店」があるが,先日柳川で本吉屋の鰻を食べに行った際,母親が異様に「本店」に執着しているのを思い出し,「本店」に行くことにする。
12時に店に着いたら,大勢の人たちが門のあたりにいた。受付係の男性に「今からですと1時半ぐらいになりますけどよろしいですか?」と言われ,待ち時間に熱田神宮参拝をする。
熱田神宮でもらった案内の紙には,「境内は,昔から雲見山・蓬莱島の名で知られ」という記述があり,「あつた蓬莱軒」の名前もそこに由来するに違いない。「蓬莱」とは広辞苑の説明を引くと「三神山の一。中国の伝説で,東海中にあって仙人が住み,不老不死の地とされる霊山。蓬莱山。蓬莱島。よもぎがしま」であるそうである。熱田の地がなぜ蓬莱に擬せられたかという問題には,熱田神宮の杜が蓬莱山を彷彿とさせるからという説明もあるが,おそらくそれだけではないだろうと思い,文献など漁ってみようかと思う。
1時半でもまだ店の前には大勢の人だかり。ほとんどの客が家族づれ,友達づれであり,1人で来ているのは自分ぐらいなものだった。仲居のおばさんが「お待たせして申し訳ありませんでした。今日はどちらからいらっしゃいました?」と聞くので,「東京です。うちの奥さんが以前こちらでひつまぶしを食べておいしかったと得意気に言うので,僕も出張のついでに来てみました」「そうですか。うちのお客様はほとんどが県外からですよ」
ひつまぶしは時代のついたおひつに入っていて,お茶碗4杯分。鰻はカリッと焼かれているせいか,量の割には腹にもたれず,食べやすい。会計で2780円也を支払い,仕事へと出かけた。